言の葉の庭、、、万葉集ありき

あまりに暑いので散歩どころではありません。
今回は新海誠監督作品の話をしますね。

映画館で「君の名は」を見てその映像美にすっかり感心してしまいました。
「君の名は」についてはわたしのサイトの 虹サロン で書きましたので、よかったらそちらをご覧ください。

そして先日テレビで「言の葉の庭」を見ました。
日常の何気ない景色が、新海誠監督の手にかかるとこれほどまでにみずみずしくなるのかと、またもや感心してしまいました。

「言の葉の庭」の題名にある通り、美しい言の葉として、万葉集の和歌がでてきます。
鳴る神の 少し響 (とよ) みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留 (とど) めむ

意味は、雷の音が少し聞こえ、空模様も曇ってきた。雨が降ってくれれば、あなたを留めておくことができるのに。といった感じです。雷のことを鳴る神というのが万葉の時代を彷彿(ほうふつ)させます。

それに対して返し歌として
鳴る神の 少し響 (とよ) みて 降らずとも われは留 (とど) まらむ 妹し留 (とど) めば

雨なんか降らなくても、君が望むならここにいるよ。

万葉の時代、貴族はひまだったのか、はたまたまめだったのか、恋路にそそぐエネルギーは相当なものです。でも、こうして当時の和歌が今アニメでうたわれるというのはとても新鮮です。
映画では、主人公の高校生が恋心をよせる年上の女性が、実は同じ高校の古文の先生で、この和歌のやりとりが重要な役割を果たしていました。

雨の描写がすばらしい。宮崎駿監督の「となりのトトロ」では雨の中でトトロと出会うシーンが大好きでしたが、「言の葉の庭」では雨の新宿御苑のあずまやで二人が出会います。しとしと降る雨やザーザーと降る雨、いろいろな雨が描かれます。そして、二人の親しさが増していくシーンではあずまやの藤だなに藤の花が咲いていました。


全然違うけど、こんな雰囲気で。
藤の花に木漏れ日があたってすごくきれいでした。藤の花に万葉集の組み合わせ、まさに鉄壁ですね。

高校のころは古文があまり好きではありませんでした。未然形、過去形、已然形など文法にとらわれて言葉の意味を感じることができなかったのです。今もこれらの ~ 形の言葉が好きになれません。(苦笑)
でも、万葉集が映画の中に出てくると、言葉が生きてきます。
本来、言葉というのは相手に伝えようとする手段なので、手紙で読むというのもいいですが、やはり声で音を発すると心に響きます。こんなアニメ映画が教材であったならば、古文も楽しかったろうにと思います。(苦笑)

「言の葉の庭」は映像の美しさだけでなく、言葉の美しさも感じる映画でした。万葉集の和歌を一つ覚えられてよかった。

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