55歳からのハローライフ

今回は最近読んだ本について書きますね。

まず本の題名「55歳からのハローライフ」が目にとまり、おもわず手に取っていました。
次に作者の村上龍の名前を見て、図書館の本棚のところでしばらく立ち読みしながら、あれっ、この話何だか知ってるなと思ったら、以前NHKでドラマ化され見たことを思い出しました。

五つの中編小説になっています。
1. 結婚相談所
2. 空を飛ぶ夢をもう一度
3. キャンピングカー
4. ペットロス
5. トラベルヘルパー

このうち、わたしがテレビドラマで見たのが 2.空を飛ぶ夢をもう一度と 5.トラベルヘルパーで、それぞれの話に共感したことを思い出します。今回は再びまっさらな気持ちで読み始めました。

幻冬舎館 55歳からのハローライフ

どの話もわかるなぁと感情移入と苦笑いしながら、、。特によかったのは「空を飛ぶ夢をもう一度」でした。ドラマを見ていたので内容は知っていましたが、5編の中では一番重たい内容で、ホームレス化した古い友人と主人公の話です。
ドラマでは主人公をイッセー尾形が、古い友人を火野正平が演じていて、読みながら彼らの演技が思い出されました。ドラマを見たときも感動したのですが、単なる友情ではないもっと深いところにある信頼感と正義感、強い気持ちにがんばれと応援してしまいます。最後は涙とともに清々しさが残りました。

55歳というのはどういう年齢なのか。シニアと呼ばれるにはまだ早く、それでいて明らかに人生の下り坂に入っている。わたし自身も常にもやもやしたものが頭の中に渦巻いている感じなので、小説の主人公たちの苦悩や現実に対する失望感、それでも、何とかっていう気持ちがよくわかります。(苦笑)

あとがきで、その人が過去に誰とどのように信頼関係を築いてきたかということが、5編に通じる共通点だと書かれていました。また、「信頼」という言葉と概念をこれほど意識して書いたことはない、ともありました。

自分の過去に対して誰とどのように信頼関係を築いてきたかと問われたら、ちょっと答えられません。でも、確かに人との交わりの中で自分の過去が形成されてきたことは事実です。そしてその経験がこれからの人生の糧 (かて) になるのかもしれません。
しかし、人生の下り坂で厳しい現実に落ち込むことは多々あります。そんな時、どうギアをチェンジできるのか、これからの自分の課題です。(難しい)

「55歳からのハローライフ」
5編の主人公たちはそれぞれ違う人生を送ってきたのだけれど、一緒に同時代を生きてきた同志のような感じがします。そんな迷える年代に、作者の村上龍は同世代 (執筆当時) として、暖かくエールを送ってくれてるのかなと思いました。

最後に
本の表と裏に英語で
「Life Guidance for the 55 year-olds and all triers by Ryu Murakami」
とあります。Life Guidanceって人生の指南書ということなのかしら。
all triers、みんなが通る道ということですね。(苦笑)

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